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わたしたちの学校を創ろう

目次


はじめに

スタート

私たちのフリースクールAUC(エイ・ユー・シー)は、1991年5月に二つの理念のもと 活動を開始し、もうすぐ丸13年を迎えようとしています。

二つの理念

1.フリースクールの名前にもなっているAunts・Uncles・Children

先生と生徒という立場ではなく、大人も子どももただのおじさん・おばさん・子ど もたちとして対等に、一人一人の人間として付き合う。

1.学校以外の学びの場・育ちの場・友達づくりのできる場

【子どもたちが学校に合わないのではなく、学校が時代や子どもたちに合わなくなっ てきているのでは?】という疑問を持ち、公教育(既存の学校)以外で学び、育ち、友 達をつくることもいいのではないかと考えた。フリースクールAUCはスタッフも子ど もたちも一緒に歩みながら考え、創造していく場。

成長する子どもたち

フリースクールAUCという場で、子どもたちは自ら学び成長してきました。同じ空 間にいながらそれぞれが自分に必要なことを見つけ、自分のスタイルで過ごしている 子どもたちの姿をそっと見守ってきた我々スタッフは、その成長振りに驚かされるば かりです。子どもたちは世間の流れに惑わされず自らの時間を過ごすことで、たくさ んのことを学んでいるのだと信じています。

信じて、愛して、待つ

フリースクールAUCの活動において、子どもたちは指導を受けるだけの対象ではあ りません。スタッフがこの13年間で子どもたちから学んだことは多く、スタッフがし ていることは子どもたちが求めることへの手助けと、信じて・愛して・待つことです。


子どもが創る子どもと創る学校事業

なぜ学校?

「はじめに」でも書いたように、私たちは、フリースクールの活動を通じて、子ど もたちが学校以外の場でも十二分に育ち、そして社会的な自立をしていくのだという ことを知ることが出来ました。では、なぜいまさら学校について考える必要があった のでしょうか?

それには、文部科学省を中心とする不登校児童生徒に対する考え方の変化が大いに 関係しています。ご存知の方も多いかもしれませんが、私たちが活動を開始してしば らくして、文部科学省(当時文部省)は「不登校は、誰にでもおこりうる」という考 え方を示しました。それまで、「不登校=病気、わがまま」と捉えられていたことか らすると、大転換といえるでしょう。そして、それは良い方向に作用するようにも思 えました。

しかし、その考えを受けたその後の学校を中心とする(学校に来にくい)子どもた ちに対する対応は、決して良い方向に向かったとまではいえませんでした。簡単に言っ てしまえば、登校刺激はしない、保健室でも相談室でもいいよ、といういっけん優し い対応が、子どもたちが学校に行きづらい本質的な問題を包み隠し、親も子も先生も そこに行き着くことなく子どもたちが表面的には学校を卒業していくという結果を生 み出していきました。

そして、その結果が私たちのフリースクールに、どのように影響してきたかという と、それまで、ある意味で「いちど学校と決別して、学校以外の育ちや学びの場を求 めて」やってきていた子どもや親たちが、「別の学校」を求めてやってくるようになっ たのです。つまり「学校が、或いは学校の対応が決して悪いわけではないのだけど、 子どもに合う学校をもとめて」やってくるようになったのです。勿論、全てがそうだ というわけではありませんが、「自分たちに合う別の学校」を求めてフリースクール を訪れる人が多くなったのは確かです。

また、時を同じくして、学級崩壊の問題、LD、ADHDの問題、多様化する家庭 の価値観など、良くも悪くも、学校は学校で、そして私たちフリースクールはフリー スクールの立場から、今の子どもたちの為に、そして、未来の子どもや親たちの為に、 あらためて、「今、本当に必要な学校とは?」について、考えてみる必要が生じてき たのです。

そして、今回、独立行政法人福祉医療機構(子育て支援基金)の交付を受けること が出来、子どもたちといっしょに話し合う機会をもつことが出来たことは、大変に意 義あることだと思っています。


私たちの学校プラン

理念

★自分で必要なことを見つけ、考え、行動する。

今の自分にとって何が必要なのか、与えられる時間を過ごすのではなく自分の時間 を過ごす。

既存の学校は登校したときから下校するまで時間割が決められていて、自分が今、 何をしたいのか、何をしたらいいのかなどを考える時間がほとんどありません。
  学習の仕方や時間の過ごし方、与えられたことをただこなすだけではなく、自分に 必要なこと、やってみたいこと、知ってみたいことを自分で見つけ考えることで、た だ与えられたことをするよりも楽しく身につけることができるのではないでしょうか。 教科書の勉強で基礎学習をすることも必要なことかもしれません。
  しかし同じ学習をするにも、まずは自分を見つめ、向かい合うことで今必要と思う ことを見つけることも大切だと考えています。
  このような時間を過ごすなかで、教科書には載っていない大切なことをたくさん学 んでほしいと思っています。

つまらなくするのも 楽しくするのも、 自分次第!!!


カリキュラム

学校のように決められた時間割はありません。

  自分が知りたい、学びたいと思ったことが学習です。
  自分で学びたいことの計画を組み立てることから学習が始まります。
  自分で調べたり、研究したり、一人ではわからないことは知識を持った人に教えて もらったり、子どもたちによってその方法はさまざまです。一人一人に個性があるよ うに、ものの見方や身につけ方も違って当然なのです。
  同じ問題を提示しても調べ方、応え方が違うならば自分に合った方法を自分が見つ け出し身につけていく、自分の興味のあることや自分にあった学習の仕方をすればこ れまでと同じ勉強をしていても、きっと楽しく効率よく学習できるはずです。
  また、学習は教科学習だけではありません。身近にある問題や小さな疑問に目を向 けることも学習の一つなのです。

なんでだろう!? やってみよう! それが学びの第一歩


スタッフ

スタッフは先生ではありません。

  教える人、教えられる人という区別はなく、スタッフと子どもたちは対等です。ス タッフは、そっと子どもたちを見守り、助けを求められれば精一杯のバックアップをする。
  わからないことがあればスタッフも子どもたちも一緒に悩み、考えて、学ぶことをします。
  自分の得意なことで子どもたちが講座を計画し、講師になることもあります。
  同じ場所にいるみんなが、同じ重みを持っています。

スタッフと子どもたちは 同じ場所にいる同士!! みんなが先生であり、 みんなが生徒!!


建物・教室

必要な場所で必要なことを!!

  既存の学校のように、必要なものが一ヶ所にすべてあるのではありません。学校は 必要な施設がすべてそろっていて便利ですが、とても閉鎖的な印象を受けます。
  フリースクールAUCは拠点のひとつです。それぞれがやりたいことをするために、 どこでどのようなことをしたらよいのかを考え、行動します。
  町全体が学びの場なのです。いろいろなことをするには、いろいろな場所が必要で す。やりたいことを考え、計画を立て、必要な物、場所を探す。子どもたち一人一人 にとって、よりよい環境をつくることが大切と考えています。
  スタッフも子どもたちも、学びの場を増やすために、新しい施設の開拓をするとと もに、協力していただける施設や人たちとのコミュニケーションを大切にしていきます。

町全体が学びのフィールド 町という 真っ白なキャンパスに 好きなときに 好きな絵が描けるよ!!


運  営

現 状

  現在は100%受益者負担(簡単に言えば、子どもたちからの月謝)で運営されていま す。助成金を申請して受理されれば新しいことに挑戦するための費用にあてられます。
  今回の子ども会議も助成金事業ですし、ホームページを作る目的に助成金を申請し たりしました。
  公教育ならば小学校・中学校の期間は義務教育で無償教育が受けられますが、フリー スクールAUCでは残念ながら運営上、無償教育を行うことはできていません。しかし、 義務教育の期間は籍のある学校の学校長の許可を得てフリースクールAUCに通ってき た日数を出席日数に加算することができます。

これからの活動について

  運営に必要なことに、スタッフの人件費、その他の諸経費(家賃、電話代、特別活 動の活動費など)があげられます。月謝は経費に費やされ、無償教育までの余裕がな いのが現状です。
  現在、義務教育の期間に無償教育ができるのは簡単に言うと各地の学校が国から教 育を委託され、費用として税金が投入されているからです。フリースクールで学び育 つことでは、なぜ税金が使われないのでしょうか?
  今後、私たちは、このことについても様々な活動を通じ、社会に発信し続けていか なければいけないと思っています。そして、そういった活動は、単に、学校以外の場 で学び育つ子どもたちへの設備や施設の充実といった物理的な物を提供するという意 味だけではなく、すべての子どもたちが、対等に認められる健全な未来社会につながっ ていくのだと思います。

※資 料
教育のため、国と地方で生徒1人当たり、
これだけの経費を使っています。
(平成12年度分)
小 学 校840,000円
中 学 校889,000円
高等学校(全日制)901,000円
     (国税庁資料より引用)

おわりに

二つの側面

○ でき上がった「新しい学校プラン」は、結局のところ、これまで私たちがフリー スクールを通じて活動してきた内容と、ほとんど変わり映えのないものになりました。

  そのことは、(会議を通していただいた多くの意見を、プランに十分に反映し切れ ていないという反省もありますが、)私たちがこれまで活動してきた実績に対する自 信の表れだととっていただけると幸いです。

○ その一方で私たちは、会議の最初の方に出た一つの意見を、忘れることが出来ま せん。

「学歴は、全く知らない相手(例えば企業が、その人を採用しようとするときの)に 対する、一つの判断材料であって、・・・」言葉は正確ではありませんが、事実、就 職という形での社会参加をしようとするとき、現在の日本社会では、公で認められた 学校を出ていないということは、ハンディどころか、スタートラインにもたたせても らえない可能性さえあります。また、その意見に呼応するように、別の会議の場で、 こんな意見も出されました「フリースクール出身の有名人がでれば、いっきにフリー スクールでも大丈夫とか、フリースクールの方が良いみたいになるのでは・・・」 その言葉の通り、私たちは1日も早く、フリースクールや別の学校出身者が、それだ けの理由で社会から不当な扱いを受けないような社会を創っていかなければならない と思います。

子どもたちといっしょに成長していく

  私たちは、今回の事業を通じて色々なこと学び、また再確認しました。そして、そ の成果の一つとしてでき上がったこの冊子は、決して完成品ではありません、むしろ、 とても未熟で不完全なものといえるかもしれません。ただ、まがりなりにも、でき上 がったこの冊子をあらためて見返してみるとき、「学校も子どもたちといっしょに成 長していくもの」「たとえ器として完成された学校があったとしても、一人一人の子 どもにとっては予め完成された学校などはなく、その子の学校は、その子の成長に合 わせて成長していくもの」であるべきだという思いを強くしました。

ありがとう

  最後になりましたが、今回事業を通して、実に多くの方々にご協力をしていただき ました。この場をおかりして、みなさんに、「ありがとう」の言葉を贈らせていただ きます。

  そして、「また、いっしょに創っていきましょう!」「よろしくね」の言葉もあわ せて贈ることを忘れないでおきます。